警察にとって、鍋は遊びじゃないらしい

はい、どうも。ヴァシコ(@vasico7)です。

24時間休みなしの警察にも、1年に1度だけ暇な日があります。

それは1月1日。

正月です。

この日は市民の多くが田舎に帰るため、管轄内はほとんど無人状態。

そうなると必然的に、事件や事故の通報などもなくなります。

なので正月だけは、警官たちもゆっくり交番で休むことができるのです。

そして夜はみんなでわいわい騒ぎながら、鍋をつつくのが恒例行事。

この話は、そんな1年に1度の貴重な日を、その鍋のために翻弄された哀れな男のお話です。

 

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宣教師の誘い

年末も間近に迫ってきたある日。

ぼくはその日の仕事を終え、狭いロッカールームで制服からスーツに着替えて帰り支度をしていた。

(※警察は出退勤時はスーツ着用。)

そんなとき、隣のロッカーの男が声をかけてきた。

男は50代半ばで、同じ係に所属する上司の1人。

その独特なヘアースタイルから、尊敬と親しみをこめて(かげで)ザビエルと呼ばれていた

ザビエル
今度の正月、鍋するからな。
ザビエル
お前も参加するだろ?
ぼく
鍋?あぁ、そういえば正月はみんなで鍋をするのが恒例だって話を聞いたな。
ぼく
はい、参加します。
ザビエル
うん。お前と山村(仮名)の2人で手分けして食材を買ってこい。
ザビエル
お前の分はコレ。

 

そう言って、宣教師はぼくに1枚のメモを渡してきた。

メモには結構な量の食材が書き込まれている。

了解したものの、1つ疑問に感じたことがある。

ぼくと山村は同期だが、同じ係には4人ほど後輩もいたのだ。

なぜみんなの分の食材を、ぼくら2人が買いに行かなければいけないのだろうか?

警察は上下関係が厳しい。

こういうイベントごとでは、後輩が雑用をやるのが決まりだったのである。

ぼく
まぁ、いいか。

 

そもそも

先輩
先輩の言うことは~~?
ぼく
ぜったーーい!

 

みたいな体育会系の体質は嫌いだったし、深く考えずにそのまま1人で買い出しに向かった。

買い出し

買い出しは仕事帰りに近くのスーパーで済ませた。

鍋に入れるような食材だ。

大体のものはスーパーに売っている。

しかしメモには1つ、なかなかトリッキーな具材も書かれていた。

おでんの具

???

なんなんだ、これは?

おでんの具がなぜ鍋に必要なのだろう?

スーパー内を探しても売っていない。

仕事明けで疲れていたし意味もわからないから、おでんの具を探すことを早々に諦め、ぼくは買い出しを終えた。

鍋パ当日、宣教師の怒り

1月1日、元旦。

鍋パーティー当日。

ぼくはメモに書かれていた具材を持って、会議室に向かった。

朝7時20分ころだろうか。

警察の朝は(無駄に)早い。

すでに部屋にいた宣教師が、ぼくに声をかけてくる。

ザビエル
おう。鍋の具材買ってきたか?
ぼく
はい。でも、おでんの具だけなかったです。
ザビエル
・・・。

 

そう聞くと、宣教師の表情が厳しいものに変わった。

その目は明らかに怒りをたたえている。

ザビエル
なかったって、お前ちゃんと探したのか?
ぼく
は…はい。
ぼく
え、コイツなんでこんな怒ってんの?
ザビエル
お前の家の近くのスーパーも探したのか?
ぼく
は…はい。
ぼく
いや、そこまでするワケねーだろ!

 

宣教師の怒りはおさまらない。

おでんの具を買ってこなかったぼくに対して、容赦ない口撃を浴びせかけてくる。

ザビエル
なら他のスーパーも探したのか?
ザビエル
見つかるまで探さなかったのか?
ザビエル
見つからないのに探すのを諦めたのか?

 

完全にガチの怒りモードである。

ぼくにとってはイロモノでしかなかったおでんの具。

それは彼にとっては鍋のメイン食材だったようだ。

ザビエル
お前鍋ナメてるのか?

ザビエル
遊びじゃねぇんだよ!

 

広い会議室内に宣教師の怒号が響き渡った。

その瞬間、室内にいた誰もが

みんな
いや、遊びだろ!

 

と心の中でつっこんだに違いない。

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鍋パは2つあった

その後、会議室を出て廊下で落胆していたとき、鈴木部長(仮名)がぼくに声をかけてきた。

鈴木部長はどこかの宣教師と違って、優しくて人格者の上司だ。

少々露出癖はあるけれども

鈴木部長
ヴァシコ君、今日A交番で鍋やるけど来る?

 

ちなみにヴァシコはぼくのこと。

もちろん仮名だ。

ぼく
A交番で?B交番じゃないんですか?

 

ぼくが宣教師に誘われた鍋パーティーは、B交番で行われると聞いていたのだ。

鈴木部長
ん?あぁ、そっちとは別開催だよ。
鈴木部長
うちはうちで楽しく鍋やるからさ♪
ぼく
ハメられた…。

 

そう思った。

(実際そんなことはないんだけれども。)

ぼくはてっきり、みんな宣教師主催の鍋パーティーに参加するものだと思っていた。

だから宣教師の誘いに乗ったのだ。

だが実際は、鍋パーティーは2つ存在していた。

1つは、宣教師主催のガチかつつまらない鍋。

もう1つは、みんなで和気あいあいと囲む楽しい鍋。

ぼくの参加するのは前者で、いま鈴木部長が誘ってくれているのが後者。

そう考えれば、前者の買い出しに同期の山村とぼくが抜擢されたのも納得がいく。

後輩たちはみな、後者のパーティーに参加することになっていたからだ。

もちろん鈴木部長の鍋パーティーに参加したい。

でも…誤解していたとはいえ、先に約束をしたのは宣教師のほうである。

おでんの具がないだけで、あれだけわめき散らすアホ人だ。

これで別の鍋パに参加すると言ったら…

とんでもない怒りにさらされることは間違いない。

ぼくは泣く泣く鈴木部長の誘いを断った…。

1年で唯一暇な日に、駆けずり回るぼく

宣教師の怒りはおさまったが、ぼくには新たな指令が下されていた。

それは、鍋の時間までにおでんの具を探して買ってくること。

本来なら、交番の中でゆっくり休んでいていい日のはずなのに…。

ぼくは管轄地域内のスーパーやコンビニ巡りをしなければならない。

とはいえ正月だ。

休みのスーパーも多い。

バイクで管内を走りまわり、営業しているスーパーを見つけてはおでんの具を探す。

宣教師いわく、おでんの具という商品名で色んなおでんの具材が1つの袋の中にパッケージングされて売っているらしい。

1軒、2軒、3軒と…探しても見つからない…。

4軒目のスーパーでようやく見つけ出すことができた。

すぐに宣教師に電話する。

ぼく
おでんの具が見つかりました!
ザビエル
ほーん。どんなやつ?
ぼく
えっ?えーと、こうこうこういうやつです。

 

ぼくは手にしたおでんの具の特徴を電話で伝える。

ザビエル
あー、それあんまり美味くないやつだ。
ザビエル
他の探してきて。
ぼく
・・・(  ゚Д゚)
ぼく
もうテメェで探せよ(  ゚Д゚)!

 

そう心の中で叫びつつも、直接言えるわけもなく、おでんの具探しは続く。

結局朝10時から捜索を開始して、宣教師の納得いくおでんの具を見つけ出したころには、時刻はもう夕方5時を回っていた。

 

↓につづく。

「鍋は遊びじゃない」とぬかす警官の鍋パに、果たして人は集まるのか?

2017.04.16

 

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